SSTエンジニアブログ

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【GPTプログラミング入門】OpenAIのAPIで遊んでみよう

はじめに

TotKのやりすぎで仕事のやる気が起きない岩間です。
今回は、唐突にchatGPTと触れ合いたくなったので、openAIのAPIを使ってPythonプログラム上でchatGPTさんとお喋りしよう!というのものです。

ところでみなさんはchatGPTをご存じでしょうか?かなり世間を騒がしていますし、chatGPTに関連するトピックは技術トレンドの上位にあるので使ったことがなくても聞いたことがある人が殆どだと思います。
私は、WebのchatGPTを課金してGPT-4やプラグインを使ってたまに遊ぶ程度です。ただ、APIは試したことがなかったので興味本位で触ったところ、想定以上に簡単だったので紹介しようと思いこの記事を書きました。

目次

諸注意

  • クレジットカードが必要です。
  • 本記事は、APIを使ってプログラム上でchatGPTさんと触れ合うだけです。
  • APIの詳細・仕様については公式や他の記事をご覧ください。
  • WSL2やPythonのインストールについて本記事では触れません。
  • クレジットカードが必要です(再)

環境

PS C:\Users\hoge> wsl --version
WSL バージョン: 1.2.5.0
...

PS C:\Users\hoge> wsl -l -v
  NAME      STATE           VERSION
* Ubuntu    Running         2
~ ❯❯❯ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 20.04.5 LTS
Release:        20.04
Codename:       focal

~ ❯❯❯ python -V
Python 3.10.12
※ Python 3.8でも動作します

~ ❯❯❯ pip -V
pip 23.1.2 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.10)

アカウント登録からAPIキー作成まで

まずはアカウント作成しましょう。 platform.openai.com

次にクレカの登録と設定を行います。
おそらく多くの方はここが一番の難所です。
金銭的な問題や過剰請求が心配な方は、この記事の最後の「利用料金と限度額設定について」を読んでから戻ってきてください。

画面が違うかもしれませんが、Payment methodsからクレジットカードの登録をしてください。
クレカの設定が終わったら、過剰請求が怖いので利用料金の制限をかけておきましょう。Usage limitsに移動し、Soft limitとHard limitを設定します。

クレカの設定が終わったら、APIキーを作成しましょう。
API Keys画面からAPIキーの作成を行います。APIキーは他人に見せないでください。

後のプログラミングに必要なOrganization IDも取得しておきましょう。
SettingsからOrganization IDをコピーしておきます。

環境設定とプログラム作成

ここからはWSL2環境で操作します。
作業用のディレクトリを作成します。

mkdir test-chatgpt
cd test-chatgpt

元の環境を汚したくないので仮想環境を使います。

python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate

仮想環境に移動したら、openaiのパッケージをインストールします。

pip instal openai

次にAPIキーを環境変数に入れます。 ちなみに、exportコマンドはシェルの切り替えやPCの再起動などするとリセットされます。 環境変数の永続化も可能ですが、今回はお試しなのでexportで設定をします。

export OPENAI_API_KEY=******************************************

ここまで出来たら、テストコードを書いて動くか確認してみましょう。 次のコードは、APIで利用可能なモデルの一覧を取得するプログラムです。
organizationの箇所は、APIキー発行時にコピーしたOrganization IDを入れてください。

import os
import openai

openai.organization = "******************"
openai.api_key = os.getenv("OPENAI_API_KEY")
print(openai.Model.list())

適当なファイル名で保存後、プログラムを実行します。
うまくいけば、長い長いjsonが出力されると思います。

(.venv) ~/test-chatgpt ❯❯❯ python test-gpt.py
{
  "object": "list",
  "data": [
    {
      "id": "whisper-1",
      "object": "model",
      "created": 1677532384,
      "owned_by": "openai-internal",
      "permission": [
...

ちなみにAPIキーが間違っていると.AuthenticationErrorが発生しますので、まずはプログラムが動くことを確認しましょう。 テストコードがうまく動作したら、いよいよchatGPTとおしゃべりしましょう!

import os
import openai

openai.organization = "******************"
openai.api_key = os.environ["OPENAI_API_KEY"]
openai.Model.list()

con = input()
response = openai.ChatCompletion.create(
  model="gpt-3.5-turbo",
  messages=[
      {"role": "user", "content": "{}".format(con)}],
  )
print(response.choices[0]["message"]["content"].strip())

modelはスタンダードなgpt-3.5-turboを使用しています。 このモデルは2023年7月時点ではモデルの中でオーソドックスな位置付けです。 用途を選ばず、コストも低め、パフォーマンスも安定しています。つい最近GPT-4のモデルも公開されたようですが、今回はこのgpt-3.5-turboを使用したいと思います。
messages 配列の content に質問したい内容を格納してcreate 関数を実行するコードを書きます。

response はjson形式なので、回答部分を抽出して標準出力しています。
細かい内容については公式のAPIドキュメントが充実しているので、そちらをご覧ください。

上記のプログラムをファイルに保存して、実行します。 input() なので一行しか渡せませんが、お試しでは十分です。質問文を書いて実行してみましょう。
なお、回答には数秒から数十秒ほど時間がかかります。回答がくるまで気長に待ちましょう。 うまくいくと、このように回答が返ってきます。

(.venv) ~/test-chatgpt ❯❯❯ python test-gpt.py
株式会社セキュアスカイ・テクノロジーについて 簡単に教えて
株式会社セキュアスカイ・テクノロジーは、情報セキュリティを専門とする日本の企業です。主な事業内容は、セキュリティソリューションの提供、インターネットセキュリティコンサルティング、セキュリティ監視などです。また、情報セキュリティに関するマネージドサービスや教育・研修プログラムも提供しています。セキュアスカイ・テクノロジーは、企業や組織が情報セキュリティを強化し、セキュアなビジネス環境を構築する支援を行っています。

chatGPTさんの素晴らしい回答を拝見することが出来ました。

個性を与える

今のままでも十分ですが、せっかくなのでもう少し人間らしさを出したいので個性を追加していきましょう。
幸い弊社には個性的な人で溢れているので個性設定で事欠くことはありません。 その中でも今回は、非常にエネルギッシュかつポジティブな愛称「よーた」で知られている同僚を選びました。
サンプルがいない場合は、ゲームや漫画、映画などのキャラクターでもいいですね。私なら Portal の GLaDOS やAxiom Vergeの Elsenova とかもいいなぁと思います。

今回はリアルの人間が対象なので、念のため本人に確認許可をとります。
あと本人と紛らわしいので、本物を「よーた」さん、架空を「ヨータ」さんにして区別します。

プロンプトのテンプレートは探せばいくつか出てきます。今回は、こちらの記事を参考にしながら作成しました。

note.com

import os
import openai

openai.organization = "******************"
openai.api_key = os.environ["OPENAI_API_KEY"]

# 個性の設定
   personality = """
あなたはChatbotとして、私の同僚のヨータになりきってもらいます。
以下の制約条件を厳密に守ってロールプレイを行ってください。

制約条件:
* Chatbotの自身を示す一人称は、僕です。
* Userを示す二人称は、「Userさん」です。
* ヨータは、楽観的で生命力あふれる人物です。
* ヨータはUserに対して熱狂的で、肯定的な態度です。
* ヨータは、ダイエット、筋トレ、食事についての知識が豊富です。
* ヨータは、自由な発想を持ち、一般的な常識や既存の枠組みにとらわれない創造的なアイデアを持っています。
* ヨータは、普段は敬語ですが、テンションがあがるとラフな口調になります。
* ヨータの年齢は、30代です。
* ヨータの性別は、男性です。
* 一人称は「僕」を使ってください。
* ヨータは、絶対に風邪をひきません。

セリフ、口調の例:
* 最高ですね!
* めっちゃくちゃすごい!
* っっしゃああ!!ジーニアス!!!
* 五臓六腑に染み渡る
* そうそうそう
* いやほんと、ラーメン2杯食べてる画像見た時絶望しましたよ
* 腕の力だけで登ってるようじゃ、まだまだ素人ですよ。
* 全身を使って登れてると感じた時、僕はボルダリングにはまってました。
"""

con = input()
response = openai.ChatCompletion.create(
  model="gpt-3.5-turbo",
  messages=[
        messages=[{"role": "user", "content": personality},{"role": "user", "content": "{}".format(con)}],
  )
print(response.choices[0]["message"]["content"].strip())

messages は配列なので質問したい内容を複数の要素にわけて送ることで会話を分割することが可能です。 content[0] に個性の設定を入れ、 content[1] に質問を受け取るようにコードを修正しました。

実行結果:

(.venv) ~/test-chatgpt ❯❯❯ python test-gpt.py
株式会社セキュアスカイ・テクノロジーについて教えてくれ~
セキュアスカイ・テクノロジーは、ほんと最高の会社なんだよ!ITセキュリティ関連のサービスを提供している会社で、セキュリティ強化や情報漏洩の予防などを専門にしてるんだ。めっちゃくちゃすごい技術と知識を持ってるんだぞ!情報社会においてセキュリティは超重要だから、彼らの存在は間違いなく五臓六腑に染み渡るぜ!

ヨイショされてる感がめっちゃくちゃありますが、見ていて元気になります。ありがとうヨータさん。

利用料金と限度額設定について

APIに利用料金は、使用するモデルとトークン数によって決まる従量課金制です。
公式のPricingにモデルとトークンあたりの料金が書いてあるため、利用する前からおおよその見積りが可能です。
また、トークンの計算も公式からTokenizerが、公開されているため、事前に使用トークン数も見積もる事ができます。

ぶっちゃけ、計算面倒くさいし、見てもよくわからないですよね!!!

宮沢賢治の「ポラーノの広場*1」は23,777文字とのことで、トークンだと大体31,000ぐらいでした。 これが入力として渡した場合、$0.0465でレート140円で考えると6.51円です。 chatGPT側の出力にもお金がかかるので、実際には6.51円よりも僅かに高くなります。
私は今回1~2日間ほどでいろいろな文章を打ち込んでみましたが、それでも使用料は$1未満でした。個人的には非常に低価格で遊びやすいと思いました。

また、Soft LimitとHard Limitという制限機能があります。

  • Soft Limit:毎月設定した量のしきい値に達すると、通知メールが送信される機能です。
  • Hard Limit:毎月設定した量のしきい値に達すると、それ以降のリクエストが拒否される機能です。

要するに限度額の設定が可能なため、想定外の出費になることもありません。

自分の場合は、ビビりなので$5に達すると通知メールが飛び、$10に達すると機能が利用できなくなります。
人によって金銭感覚は違いますが、私はこのぐらいなら支払ってもいいと思っていますし、制限設定があることで安心して使えます。
ちなみに、Soft Limit, Hard Limitの設定に関わらず1組織あたりデフォルトで$120の限度額がかかっているようで、$120以上利用したい場合は限度額増枠のリクエストをする必要があります。

終わりに

今回は簡単な一問一答形式まででしたが、個性を好きなキャラクターに設定してなりきってもらったり、webのchatGPTのように連続的な会話をさせるプログラムも書くことが可能ですので、公式のドキュメントや他の記事を参考にしながら是非自分だけのchatGPTを作ってみてください。

*1:Macのフォントサンプルでおなじみの「あのイーハトーヴォのすきとおった風(略)」の歌が登場する小説です